「不動産投資で家賃収入を得たいが、年収1,000万円以上のエリートじゃないと無理だろうか?」 「年収600万円の自分でも、一棟アパートのオーナーになれるのだろうか?」
結論から申し上げますと、年収600万円は一棟アパート投資における「スタートライン」です。十分にチャンスはあります。
しかし、数年前のような「フルローンで誰でも億万長者」という時代は終わりました。現在の融資情勢で成功するためには、自分の属性(年収・勤務先)を冷静に分析し、正しい順序で戦略を立てる必要があります。
年収600万円は「一棟アパート投資」のスタートライン!
不動産投資において、年収は銀行融資の「限度額」を決める重要な物差しです。 一般的に、アパートローンの融資限度額は**「年収の7倍~10倍」と言われています。つまり、年収600万円の方であれば、およそ「4,200万円~6,000万円」**の物件が購入ターゲットとなります。
この価格帯であれば、都心の新築RCマンションは買えませんが、郊外の一棟アパートなら十分に射程圏内です。 重要なのは、高望みをせず、自分の身の丈(借入可能額)に合った「勝てる物件」をピンポイントで狙うことです。ここからは具体的な3つのステップを見ていきましょう。
【Step 1】「自己資金」を最低500万円~700万円貯める
ここが最初の、そして最大の難関です。 かつては頭金なしのオーバーローンも横行していましたが、現在は「物件価格の1~2割の頭金」+「諸費用(約7%)」を用意できるかどうかが、融資承認の分かれ目となります。
例えば5,000万円の物件を買う場合、諸費用(約350万円)と頭金(約500万円)で、合計800万円近い現金が必要になるケースも珍しくありません。
銀行はあなたの年収だけでなく、「計画的に貯金ができているか(=経営能力があるか)」を通帳の履歴から厳しく審査します。「年収はあるが貯金はゼロ」という人は、まず門前払いです。 まずは家計を見直し、最低でも500万円の「見せ金(銀行に見せるための自己資金)」を作ることが、オーナーへの入場チケットとなります。
【Step 2】狙うは「地方・築古・木造」の5,000万円以下の物件
融資枠が6,000万円前後である以上、利回りの低い都心の物件を買うと、ローンの返済比率が高くなりすぎて手残り(キャッシュフロー)が出ません。
年収600万円からスタートして成功する人の王道パターンは、以下の条件です。
・構造:木造または軽量鉄骨(RCより安価で利回りが高い)
・築年数:築20年~30年(価格が熟れており、値下がりリスクが低い)
・エリア:国道16号線の外側や北関東などの地方都市(表面利回り10%以上を狙える)
・価格:3,000万円~5,000万円
この条件であれば、月々のローン返済を差し引いても、毎月10万~15万円程度の手残りを確保できる可能性が高まります。まずは「見た目の良さ」より「確実に利益が出る」中古アパートから実績を作ることが重要です。
【Step 3】都市銀行は諦めろ!「アパートローン・地銀」を開拓する
融資の申し込み先選びも重要です。メガバンク(都市銀行)は、基本的に年収1,000万円以上の富裕層か地主しか相手にしてくれません。年収600万円の方が狙うべきは、以下の金融機関です。
パッケージ型アパートローン(オリックス銀行など): 年収500万円以上から利用可能で、審査基準が明確。金利はやや高め(2%台~)ですが、融資期間を長く取れるメリットがあります。
地方銀行・信用金庫: 物件の所在地、または自分の居住地の近くにある地域密着型の金融機関です。支店長決裁などで柔軟に対応してくれる場合がありますが、「頭金2割必須」など条件は厳しめです。
日本政策金融公庫: 融資期間は短めですが、低金利で借りられます。小ぶりな物件(2,000万円前後)から始めるなら最有力の選択肢です。
自分の属性で「どこの銀行ならいくら借りられるか」を、不動産会社を通じて事前に把握しておくことが、スピード勝負の物件購入を制する鍵となります。
まとめ
年収600万円からの不動産投資は、決して夢物語ではありませんが、甘い世界でもありません。
自己資金をしっかり貯めて銀行の信用を得る。
身の丈(5,000万円以下)の高利回りな中古物件を狙う。
アパートローンや地銀を賢く活用する。
このロードマップに沿って着実に1棟目を購入・運営し、実績を作ることで、2棟目、3棟目の融資への道が拓けます。 まずはポータルサイトを見る前に、通帳の残高を確認し、目標金額までの貯金計画を立てることから始めてみてください。その地道な一歩が、将来の大きな資産につながります。








