「一棟アパート投資を始めたいけれど、どれくらいの資金が必要なの?」「銀行ローンってどうやったら借りられるの?」といった疑問を抱えているアパート購入初心者の方も多いのではないでしょうか。アパート購入は高額な買い物であり、成功の鍵は綿密な資金計画と、銀行ローンをスムーズに獲得するためのポイントを理解することにあります。
この記事では、一棟アパート購入を検討している初心者の方に向けて、必要な資金の内訳から、銀行ローンの種類や審査のポイントまで、実践的な情報を提供します。
アパート購入に必要な資金の内訳と自己資金の目安
一棟アパートを購入する際には、物件価格以外にも様々な費用が発生します。これらの費用を把握し、自己資金の目安を立てることが最初のステップです。
1. 物件価格以外の諸費用を把握する
アパート購入時には、物件価格に加えて以下の諸費用がかかります。これらの費用は、物件価格の約7%~10%が目安とされています。
●購入時諸費用:
不動産仲介手数料: 物件価格の3%+6万円+消費税が上限(400万円超の場合)。
印紙税: 売買契約書や金銭消費貸借契約書に貼付する税金。
登録免許税: 不動産の登記にかかる税金。
不動産取得税: 不動産を取得した際に一度だけかかる税金。
固定資産税・都市計画税の清算金: 引渡し日を境に、日割りで売主と清算します。
火災保険料・地震保険料: ローンを組む場合に加入が義務付けられることが多いです。
司法書士報酬: 登記手続きを依頼する際の費用。
●ローン関連費用:
融資事務手数料: 金融機関に支払う手数料。
保証料: 信用保証会社に支払う費用(一括払いか金利上乗せか選択)。
団体信用生命保険料: 通常、ローン金利に含まれることが多いですが、別途の場合も。
●その他費用:
修繕費用: 購入後のリフォームや設備の修繕費用。
予備費: 空室対策や突発的な出費に備える費用。
2. 自己資金(頭金)はどれくらい必要か?
一般的に、アパートローンでは物件価格の1割〜3割程度の自己資金(頭金)が必要とされます。諸費用も自己資金で賄うのが基本です。
●自己資金が多いメリット:
ローン審査に通りやすくなる: 金融機関にとってリスクが低減されるため。
借入額が減り、毎月の返済負担が軽減される: キャッシュフローが改善します。
金利の優遇を受けられる可能性: 自己資金の多さが評価される場合があります。
ただし、自己資金を全て使い果たすのは避け、購入後の運転資金や予備費として手元にいくらか残しておくことが重要です。
銀行ローン審査のポイントと種類
アパートローンは、住宅ローンとは異なり、収益性不動産への融資であるため、審査基準も異なります。
1. 銀行が重視する審査のポイント
●融資を受ける個人の属性:
年収・勤続年数: 安定した収入と職歴があるか(大企業の社員や公務員は有利)。
資産状況: 預貯金、他の不動産、借入状況(カードローンや車のローンなど)も確認されます。
これまでの信用情報: クレジットカードの支払い遅延などがないか(CICなどの個人信用情報機関で確認)。
●購入物件の収益性・担保価値:
物件の利回り: 特に実質利回りが重要視されます。
立地: 入居付けのしやすさ(駅からの距離、周辺環境、商業施設など)。
築年数・構造: 建物の耐久性や残存耐用年数。
稼働率・空室率: 現在の入居状況や、将来的な安定稼働が見込めるか。
積算評価・収益還元評価: 金融機関独自の評価基準で物件の担保価値を算出します。
●事業計画の妥当性:
作成した事業計画書: 家賃収入、運営費用、返済計画などが現実的で、収益性が見込めるか。
収支シミュレーション: 最悪のケース(空室が増える、修繕費がかさむなど)も想定したシミュレーションを提示できるか。
2. アパートローンの種類と選び方
アパートローンは、大きく分けて以下の2種類があります。
●プロパーローン:
金融機関が独自の判断で直接融資を行うローン。
金利や条件が柔軟で、個人の状況や物件の特性に合わせて調整されることがあります。
審査は厳しい傾向にあります。
●保証付きローン:
信用保証会社の保証を付けて融資を受けるローン。
保証料が発生しますが、プロパーローンよりは審査が通りやすい傾向にあります。
金利はプロパーローンより高めになることがあります。
どちらを選ぶかは、自己資金の状況や属性、物件の条件によって異なります。複数の金融機関に相談し、比較検討することが重要です。
まとめ:堅実な資金計画と入念な準備で成功を
一棟アパートの購入は、大きな資金を動かす投資です。成功のためには、物件価格だけでなく諸費用を含めた綿密な資金計画を立て、自己資金の割合を適切に判断することが不可欠です。
また、銀行ローン審査のポイントを理解し、個人の属性と物件の収益性、そして具体的な事業計画をしっかりと準備することが、融資獲得の鍵となります。焦らず、複数の金融機関に相談し、自分にとって最適な資金調達方法を見つけることが、アパート投資成功への第一歩となるでしょう。