一棟アパートは売却か更地化か?メリットデメリット徹底比較

2025/08/27
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老朽化が進んだ、あるいは相続で引き継いだ一棟アパートの活用方法に頭を悩ませていませんか?主な選択肢として「このまま売却する」か「更地にしてから売却する」かがあり、どちらを選ぶかによって手元に残る金額や手間が大きく変わってきます。

この記事では、それぞれの選択肢が持つメリット・デメリットを徹底的に比較し、あなたの状況に最適な判断を下すためのポイントを解説します。

1. 「一棟アパートのまま」売却するケース

まずは、建物を解体せずにそのままの状態で売却する場合のメリット・デメリットを見ていきましょう。

メリット:高値での売却が期待できる

現在、満室経営や高い利回りを維持できている優良物件であれば、投資家向けの「収益物件」として高値で売却できる可能性があります。買主は購入後すぐに家賃収入を得られるため、魅力的な物件と映ります。

メリット:解体費用がかからない

当然ながら、建物を解体する必要がないため、数百万単位にもなる解体費用を負担する必要がありません。これは売却時にかかるコストを抑える上で大きなメリットです。

メリット:売却までのスピードが速い

解体工事の期間が不要なため、買主さえ見つかれば比較的スムーズに売却手続きを進めることができます。

デメリット:建物の状態で価値が左右される

築年数が古く、老朽化が著しい場合、建物の価値はほとんど評価されず、逆に「古家付き土地」として土地の評価額から解体費用分を差し引かれてしまうケースもあります。耐震基準を満たしていない場合は、さらに評価が下がる可能性があります。

デメリット:買主が限定される

収益物件を探している投資家が主なターゲットとなります。一般の個人が住宅ローンを利用して購入するのは難しいため、買主の層が限られてしまいます。

デメリット:契約不適合責任のリスク

売却後に建物にシロアリ被害や雨漏りなど、契約時に説明のなかった欠陥(契約不適合)が見つかった場合、売主が修繕費用などを負担する責任を問われる可能性があります。

2. 「更地にしてから」売却するケース

次に、アパートを解体して土地だけの状態にしてから売却する場合です。

メリット:買主の層が広がる

土地として売却するため、マイホームを建てたい個人、新たなアパートやマンションを建設したいデベロッパー、駐車場用地を探している事業者など、買主のターゲットが格段に広がります。

メリット:土地本来の価値で評価される

建物の状態に左右されず、立地や形状といった土地そのものの価値で勝負できます。人気のエリアであれば、古家付きの状態よりも高く売れる可能性があります。

メリット:契約不適合責任のリスクをなくせる

建物がなくなるため、売却後の建物に関するトラブルの心配が一切ありません。

デメリット:高額な解体費用がかかる

木造アパートでも数百万円、鉄骨造やRC造になるとさらに高額な解体費用が発生します。この費用を自己資金で賄う必要があります。

デメリット:固定資産税が大幅に上がる

住宅が建っている土地には「住宅用地の特例」が適用され、固定資産税が最大で1/6に軽減されています。しかし、建物を解体して更地にするとこの特例が適用されなくなり、税額が3倍~4倍(場合によっては6倍)に跳ね上がります。売却活動が長引くほど、この税負担は重くのしかかります。

デメリット:地中埋設物のリスク

解体工事を進めていく中で、地中からコンクリートガラや浄化槽、過去の建物の基礎などが見つかることがあります。これらの撤去には、想定外の追加費用が発生するリスクが伴います。

判断のポイントは?どちらを選ぶべきか

どちらの選択が最適かは、物件の状況によって異なります。以下のポイントを総合的に考慮して判断しましょう。

建物の状態と築年数

築浅・状態良好・高稼働 → そのまま売却が有利な可能性大
老朽化が激しい・空室が多い → 更地化を検討

立地条件

駅近・人気住宅街 → 土地としての需要が高いため更地化が有利になることも
周辺に競合物件が多い → 収益物件として差別化が難しければ更地化も視野に

資金計画

解体費用を自己資金で用意できるか、固定資産税の増加分を許容できるか。

まとめ

一棟アパートの売却は、単純に「古ければ壊す」というものではありません。物件の収益性や建物の状態、そして立地が持つポテンシャルを多角的に分析することが重要です。

現状で十分な収益を上げているなら「そのまま売却」

建物の価値が低く、土地としての魅力が高いなら「更地化して売却」

最終的な判断を下す前に、必ず複数の不動産会社に査定を依頼しましょう。その際には「アパートのまま売却した場合」と「更地にして売却した場合」の両方の査定額を提示してもらうことをお勧めします。不動産会社の意見を参考に、あなたの資産価値を最大化できる、後悔のない選択をしてください。

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