初めての一棟売却。マンション・アパートを高く売る5つの戦略

初めての一棟売却。マンション・アパートを高く売る5つの戦略

2025/10/24
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一棟売却は、一般的な居住用不動産の売却とは全く異なります。なぜなら、買い手は「そこに住みたい人」ではなく、「その物件で収益(家賃収入)を得たい投資家」がメインだからです。

買い手の目的が違う以上、売り方(戦略)も変えなければなりません。
この記事では、投資用不動産売却のプロが、初めての一棟売却を成功させ、あなたの資産価値を最大化するための「5つの戦略」を徹底解説します。

戦略①:「満室」で物件の収益性を最大化する

一棟売却で高く売るために最も重要な戦略です。

投資家が物件の価格を判断する最大の基準は「利回り(どれだけ儲かるか)」です。空室だらけのアパートは、将来の収益が計算できないため、「リスクが高い物件」と見なされ、大幅な値引き交渉(指値)の対象となります。

逆に、満室あるいは高稼働率(95%以上)であれば、安定した収益を生む「優良物件」として評価され、強気の価格設定でも売却が可能になります。

【実行すべきこと】

・売却活動を開始する最低半年前から、管理会社と連携し、空室の募集(リーシング)を強化する。
・レントロール(賃料一覧表)を最新化し、満室状態の収益性を明確に示す。

戦略②:売却の「タイミング」を税金面から見極める

高く売るとは、手取り額を最大化することです。不動産売却で得た利益(譲渡所得)には高額な税金がかかりますが、これは物件の「所有期間」によって税率が激変します。

・短期譲渡所得(所有期間5年以下): 税率 約39%
・長期譲渡所得(所有期間5年超): 税率 約20%

もし所有期間が4年半といった場合は、税率が約半分になる5年超えのタイミングまで待つのが賢明な戦略です。焦って売却すると、利益の約4割を税金で失うという失敗につながります。

戦略③:物件の「履歴書(修繕履歴)」を完璧に準備する

投資家が利回りの次に恐れるのが、「購入後に発覚する高額な修繕費」です。

「この物件はしっかり管理されてきたか?」という買い手の不安を払拭するため、物件の「履歴書」を準備しましょう。これが物件の信頼性を高め、高く売るための強力な武器となります。

【準備すべき書類】

・過去の修繕履歴: 「いつ、どこを、いくらで修繕したか」の一覧
・長期修繕計画書: 将来の修繕計画(あれば尚良い)
・法定点検報告書: エレベーター、消防設備、貯水槽などの定期点検記録

これらの書類が揃っていると、「管理が行き届いた優良物件」と評価され、価格交渉で優位に立てます。

戦略④:費用対効果の低い「大規模リフォーム」はしない

「高く売るために、売却前に外壁塗装や共用廊下の改修をしよう」と考えるオーナー様がいますが、これは失敗しやすい戦略です。

投資家は、自分の投資計画(コスト感)の中でリフォームを行いたいと考えています。売主が数百万円かけてリフォームしても、その費用がそのまま売却価格に上乗せできるとは限りません。

【実行すべきこと】

・やるべきこと
共用灯の交換、雑草処理、エントランスの清掃など、「第一印象」を良くするための低コストな美観維持。

・やるべきでないこと
高額な外壁塗装、全室のクロス張り替えなど、買い手の好みが分かれる大規模修繕。

コストをかけるべきは、空室対策(戦略①)です。

戦略⑤:「一棟専門の不動産会社」をパートナーに選ぶ

初めての一棟売却を成功させる5つの戦略の中で、これが最も重要です。

「大手だから安心」「地元だから詳しい」という理由だけで不動産会社を選んではいけません。彼らの多くは「居住用」不動産のプロであり、「投資用」のプロではないからです。

一棟売却で高く売るには、独自の「投資家ネットワーク(顧客リスト)」を持つ「一棟売買の専門業者」に依頼する必要があります。

専門業者は、あなたのアパートやマンションを「収益物件」として正確に評価し、広告に頼らずとも水面下(オフマーケット)で優良な投資家に直接アプローチできます。これにより、入居者に知られることなく、高値での売却が実現可能になります。

まとめ

初めての一棟売却で失敗しないためには、「買い手は投資家である」という視点に立ち、戦略的に準備を進めることが不可欠です。

「満室」という最高の状態を作り、「修繕履歴」で安心感を与え、そして「専門の不動産会社」を通じて優良な投資家に届けること。この戦略こそが、あなたの大切な資産を最も高く売るための王道です。

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