一棟アパートの売却は、通常のマイホーム売却とは異なり、非常にデリケートな問題を含みます。なぜなら、そこには「入居者」という第三者が関わっているからです。
もし売却活動が近所や入居者に知られたらどうなるでしょう?
「このアパート、売りに出されてる」「オーナーが変わるらしい」という噂は瞬く間に広がり、入居者が将来を不安に思って退去してしまうかもしれません。入居率の低下は、物件の収益性(利回り)の低下に直結し、結果としてあなたの一棟アパートの売却価格が暴落するリスクすらあります。
なぜバレる?一棟アパート売却が「近所に知られる」3大原因
そもそも、なぜ秘密にしたい売却情報がバレてしまうのでしょうか? その原因は、不動産会社の「売却活動」そのものにあります。
原因1:派手な広告活動(SUUMO・チラシ)
最もバレる原因です。不動産会社がSUUMOやHOME’Sといったポータルサイトに物件情報を掲載したり、近所に「売り物件」としてチラシを配布したりすれば、一棟アパートの入居者や近所の人々に知られずにいることは不可能です。
原因2:不特定多数の内見(内覧)
「最近、知らない人がアパートの敷地や共用部をジロジロ見ている」 これを入居者や近所の人が見れば、売却を疑うのは当然です。「定期点検です」とごまかしても、頻繁に別々の人が訪れれば怪しまれます。
原因3:不動産会社の「売却中」看板
一昔前の手法ですが、いまだに物件の敷地内に「売却中」「管理」といった看板を設置する不動産会社もいます。これを設置されれば、秘密売却は完全に失敗です。
h2: プロが実践!「バレない」ための5つの秘密売却術(コツ)
では、これらの原因を排除し、近所に知られずに一棟アパートを売却するには、具体的にどうすればよいのでしょうか。バレないための5つのコツをご紹介します。
コツ1:【最重要】「一棟専門」の不動産会社を選ぶ
これが成功の9割を占めるコツです。秘密売却(=オフマーケット取引)は、広告に頼らず、水面下で買い手を見つけ出す高度なテクニックが必要です。
NGな会社: 地元の不動産屋や大手仲介業者は、「居住用」がメインです。彼らは一棟アパートを「高く」「バレずに」売るノウハウ(=投資家の顧客リスト)を持っていないため、広告(SUUMOなど)に頼ろうとします。
OKな会社: 「一棟(収益物件)専門」の不動産会社を選んでください。彼らは、広告に出る前の物件を探している優良な投資家(不動産ファンド、富裕層、専門の不動産会社)のリストを独自に持っています。
コツ2:「一般媒介契約」を選び「広告NG」を徹底する
不動産会社と結ぶ契約にもバレないためのコツがあります。
NGな契約: 「専属専任媒介」「専任媒介」は避けてください。これらの契約は、法律で「レインズ(業者間不動産情報サイト)」への登録が義務付けられており、情報が業界内に広まってしまいます。
OKな契約: 必ず「一般媒介契約」を選んでください。これは、レインズへの登録義務がありません。 さらに契約時には、「レインズ登録不可」「一切の広告活動(ネット掲載、チラシ等)を禁止」「看板設置禁止」という条項を必ず書面で約束させてください。
コツ3:買い手(投資家)を厳選してもらう
秘密売却専門の会社は、本当に買う気のある(=融資が通る)優良な買い手だけを厳選できます。「ちょっと見てみたい」という冷やかしの内見希望者を排除し、1〜2組の確実な買い手だけに水面下で打診するため、情報が漏れるリスクが激減します。
コツ4:「点検名目」か「空室」で内見を一回で済ませる
秘密売却最大の難関が「内見」です。
点検名目(満室の場合): 管理会社(または売主)が、「消防設備点検」「建物定期メンテナンス」などの名目で全戸一斉に通知を出します。当日は、買い手(投資家)が「点検業者」のフリをして同行し、室内の状況を静かに確認します。
空室利用(空室がある場合): 空室が出たタイミングを狙い、その一部屋だけを「モデルルーム」として内見してもらい、他の部屋は書類(レントロール)で判断してもらいます。
コツ5:入居者への通知は「決済完了後」に行う
売却活動中、契約交渉中、入居者にバレないようにすることはもちろん、決済(売買代金の支払いと所有権移転)が完了するその日まで、入居者に知らせる必要は一切ありません。
一棟アパートの売買は「オーナーチェンジ」と呼ばれ、入居者は新しいオーナーと自動的に賃貸契約を引き継ぎます。バレないための鉄則は、すべての手続きが完了した当日に、新旧オーナー連名で「オーナー変更のお知らせ」を通知することです。
まとめ
一棟アパートの秘密売却は、「近所に知られずにバレない」ことと、「収益性を維持して高く売る」ことを両立させるための、高度な売却戦略です。
その成功のコツは、ただ一つ。「広告に頼らず、優良な投資家リストを持つ『一棟専門』の不動産会社をパートナーに選ぶこと」です。
あなたの貴重な資産を入居者の退去リスクから守り、バレないように売却するためには、どの不動産会社に「はじめの電話」をかけるかが運命の分かれ道となります。まずは、秘密売却の実績が豊富な専門家を探すことから始めてください。




