一棟アパート売却期間の平均と早く売るための工夫ポイント

2025/08/06
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一棟アパートの売却を検討している方にとって、「どのくらいの期間で売れるのか」は最も気になる点の一つです。売却期間は物件の条件や市況により大きく変わりますが、適切な戦略により大幅に短縮することが可能です。売却期間の実態と早期売却のコツを詳しく解説します。

一棟アパート売却期間の実態

平均的な売却期間

一般的な売却期間:一棟アパートの平均売却期間は6-12ヶ月とされています。区分マンション(平均3-6ヶ月)や戸建て住宅(平均4-8ヶ月)と比較して長期間を要する傾向があります。
エリア別の傾向:東京23区内では4-8ヶ月、首都圏郊外では8-15ヶ月、地方都市では12-18ヶ月が目安となります。人口減少地域では2年以上かかるケースも珍しくありません。
価格帯による違い:1億円未満の物件は比較的早く売却できる傾向にあり、3億円を超える物件は購入者が限定されるため長期化しやすくなります。

売却期間に影響する主要因子

物件の収益性:表面利回り8%以上の物件は3-6ヶ月、5%以下の物件は12ヶ月以上かかることが多く、収益性が売却期間を大きく左右します。
立地条件:駅徒歩10分以内の物件は早期売却しやすく、徒歩20分超の物件は長期化する傾向があります。
物件の状態:築浅物件や大規模修繕実施済み物件は早期売却が期待でき、築古で修繕が必要な物件は長期化します。

早期売却を実現する価格戦略

適正価格の設定方法

市場価格の徹底調査:過去1年間の類似物件成約事例を最低10件以上収集し、㎡単価や利回りベースで相場を把握します。希望価格ではなく、成約価格での比較が重要です。
複数社査定の活用:5社以上の不動産会社に査定を依頼し、査定根拠を詳しく聞き取ります。最高値と最低値を除いた中央値を参考価格とするのが現実的です。
戦略的価格設定:相場価格の95-105%でスタートし、3ヶ月毎に段階的に調整します。最初から大幅に安い価格を付けると「何か問題がある」と疑われるリスクがあります。

価格交渉への対応術

値下げ幅の事前設定:売り出し価格から5-10%の値下げ余地を想定し、交渉に柔軟に対応できる準備をしておきます。
根拠ある価格説明:類似物件との比較データや収益試算を用意し、価格の妥当性を論理的に説明できるようにします。
条件面での譲歩:価格以外の条件(引渡し時期、付帯設備、瑕疵担保責任など)での調整も検討し、総合的な魅力を高めます。

物件の魅力向上施策

費用対効果の高い改善ポイント

外観の印象改善:外壁の高圧洗浄(5-15万円)、エントランス周辺の清掃・植栽整備(3-10万円)で第一印象を大幅に改善できます。
共用部分のリニューアル:照明のLED化、郵便受けの交換、階段手すりの塗装など、少額投資で全体の印象を向上させることができます。
空室の簡易リフォーム:壁紙の張り替え(1室5-15万円)、水回りの清掃・部分補修で内覧時の印象を良くします。

収益性アピールの工夫

入居率改善の実績作り:売却前に空室を埋める努力をし、高稼働率をアピールポイントとします。一時的な家賃減額でも満室に近づける価値があります。
長期入居者の確保:更新時期の入居者には更新料減額や設備改善などの優遇策を提示し、安定した入居者構成をアピールします。
管理状況の整理:修繕履歴、入退去履歴、収支実績などの資料を整理し、購入検討者が判断しやすい情報提供を行います。

効果的な販売戦略

販売チャネルの最適化

専任媒介と一般媒介の使い分け:信頼できる1社との専任媒介契約で集中的に販売活動を行うか、複数社での一般媒介契約で間口を広げるかを戦略的に選択します。
投資家向けネットワークの活用:不動産投資専門会社、投資家向けセミナー、不動産投資クラブなどを通じて、より確度の高い購入希望者にアプローチします。
オンライン販売の強化:楽待、健美家、不動産投資連合隊などの投資物件専門サイトへの掲載により、全国の投資家にリーチします。

内覧対応の最適化

資料の事前準備:レントロール、修繕履歴、周辺相場資料、収支シミュレーションなど、購入判断に必要な資料を整理しておきます。
現地案内の工夫:空室だけでなく、可能であれば入居中の部屋も案内し、実際の住環境をイメージしてもらいます。
質問への的確な回答:想定される質問(修繕予定、近隣トラブル、入居者属性など)への回答を事前に準備し、誠実に対応します。

売却時期の最適化

市況を活かした売却タイミング

金利動向の把握:低金利期間中は投資家の購買意欲が高まるため、売却に有利なタイミングとなります。
税制改正への対応:相続税、譲渡所得税、不動産取得税などの税制改正情報をチェックし、有利なタイミングで売却します。
決算期の活用:3月、9月の決算期前は法人投資家の購入意欲が高まりやすく、早期売却のチャンスとなります。

季節要因の考慮

春の需要期の活用:2-4月は転勤・転職に伴う住み替え需要が高まり、賃貸物件の評価も上がりやすくなります。
年末年始の回避:12-1月は取引が停滞しやすいため、この期間は避けて販売戦略を立てることが重要です。

専門家の活用方法

不動産鑑定士による価格査定:客観的な価格根拠を示すことで、購入者の信頼を得られ、価格交渉もスムーズに進みます。
税理士による税務相談:売却時の税務処理、買い換え特例の適用可能性などを事前に確認し、売却後のトラブルを防ぎます。
弁護士による契約書面確認:複雑な条件での売却や大型物件では、弁護士による契約書面の確認により安全な取引を実現できます。

まとめ

一棟アパートの売却期間短縮には、適正な価格設定、物件の魅力向上、効果的な販売戦略が重要です。市場相場を正確に把握し、購入者の立場に立った改善を行うことで、平均的な売却期間を大幅に短縮することが可能です。焦らず計画的に進めることで、満足できる条件での売却を実現しましょう。

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