会社員が一棟アパートを購入する際の副業規制と審査基準

2025/08/05
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会社員の不動産投資への関心が高まる中、一棟アパート投資を検討する方も増えています。しかし、副業規制や融資審査など、会社員特有の課題があることも事実です。成功する投資のために知っておくべきポイントを詳しく解説します。

会社員の副業規制と不動産投資

副業規制の基本的な考え方

事業規模の判定基準:国税庁の基準では、5棟10室未満であれば「不動産所得」として扱われ、一般的に副業とは見なされません。一棟アパートの場合、部屋数が10室未満であれば、多くの企業で問題視されることは少ないでしょう。
公務員の特別な制約:公務員の場合は人事院規則により、5棟10室未満でも承認が必要な場合があります。事前に人事部門への相談が必須です。

勤務先への対応策

就業規則の確認:会社の就業規則で「副業禁止」とあっても、不動産投資が対象に含まれるかは解釈が分かれます。人事部門に事前相談することをお勧めします。
管理委託の活用:管理会社への全面委託により、「受動的な投資」であることを強調できます。これにより副業規制の対象外と判断される可能性が高まります。
確定申告での注意点:給与以外の所得が20万円を超える場合は確定申告が必要です。住民税の通知により会社に知られる可能性があるため、普通徴収の選択を検討しましょう。

金融機関の融資審査基準

個人属性の評価ポイント

年収と勤続年数:年収500万円以上、勤続3年以上が一般的な基準です。上場企業や公務員などの安定した職業は高く評価されます。
自己資金の割合:物件価格の20-30%の自己資金があると審査が有利になります。頭金以外にも、諸費用や当面の運転資金も含めて資金計画を立てましょう。
既存借入の状況:住宅ローンや自動車ローンなど、既存借入との合計で年収の35-40%以内に収まることが重要です。

物件の収益性評価

利回りの基準:表面利回り8%以上、実質利回り6%以上が融資審査の目安となります。ただし、立地条件により柔軟に判断されることもあります。
空室リスクの評価:過去の稼働率データや周辺の賃貸需要を基に、空室リスクが評価されます。駅徒歩10分以内、人口減少率の低いエリアが好まれます。
建物の状況:築年数、構造、修繕状況なども審査に影響します。築20年以内の鉄骨造・RC造が評価されやすい傾向にあります。

融資を受けやすくするポイント

事前準備の重要性

事業計画書の作成:収支計画、返済計画、リスク分析を含む詳細な事業計画書を作成します。数字の根拠を明確にすることで、金融機関からの信頼を得られます。
複数の金融機関へのアプローチ:都市銀行、地方銀行、信用金庫、ノンバンクなど、複数の選択肢を検討しましょう。それぞれ審査基準や金利条件が異なります。
保証人・担保の準備:連帯保証人や追加担保の提供により、融資条件が改善される場合があります。

審査に有利な条件作り

メインバンクとの関係強化:給与振込や住宅ローンなどで取引実績のある銀行から始めることで、審査が円滑に進みます。
資産状況の整理:預貯金、有価証券、生命保険などの資産を整理し、返済能力をアピールできる資料を準備します。
信用情報のクリーン化:クレジットカードの延滞や携帯電話料金の未払いなど、信用情報に傷がないか事前確認し、必要に応じて改善を図ります。

リスク管理と成功のポイント

資金繰りのリスク対策

運転資金の確保:家賃収入が途絶えても6ヶ月程度は返済できる資金を確保しておきましょう。
修繕費の積立:年間家賃収入の5-10%を修繕費として積み立てることで、突発的な支出に対応できます。
保険の活用:火災保険、施設賠償責任保険に加え、家賃保証保険の加入も検討しましょう。

長期的な成功戦略

立地選択の重要性:人口動態、再開発計画、交通利便性を総合的に評価し、将来性のあるエリアを選択します。
管理会社との連携:入居者募集、建物管理、トラブル対応など、信頼できる管理会社との長期的なパートナーシップが成功の鍵です。
税務対策の最適化:減価償却、修繕費の計上タイミングなど、税理士と相談しながら適切な税務対策を実施します。

まとめ

会社員が一棟アパート投資を成功させるには、副業規制の正しい理解と、金融機関の審査基準を満たす準備が不可欠です。リスクを適切に管理しながら、長期的な視点で資産形成を進めることで、安定したキャッシュフローを実現できるでしょう。まずは勤務先の就業規則確認と、信頼できる不動産会社への相談から始めてみましょう。

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